ドリームラーナーズの石原です。①の記事では、「行動して納得する」というマインドセットについてお伝えしました。この記事では、進路の種類ごとに「具体的に何をすればいいか」を紹介します。
このシリーズは全2回です。
- ① 納得して進路選択を(マインドセット編)
- ② 進路別・動き方の具体例(この記事)
「将来の夢がない」状態でも、自分が検討している進路のリアルに少しでも触れてみれば、「向いているかもしれない」「やっぱり違う」という感触がつかめます。その感触こそが、「なんとなく」ではない選択につながっていきます。
大学進学を考えている人へ:福祉系
「職に困らないから」という理由だけで福祉系を選ぼうとしているなら、一度立ち止まって考えてみてください。福祉の仕事は、現場での体力的・精神的な消耗が大きく、志望動機の薄い人が長く続けるのは難しい職種です。高齢者や障がい者の身体介護は肉体的な疲弊が蓄積しますし、利用者の人生に寄り添う責任は精神的な負担として長期間続きます。本当にやりがいを感じられないまま続ければ、離職につながるリスクが高いのです。一方で、同じ環境でも淡々と向き合い続けられる人がいるのも事実です。向いているかどうかは、実際に現場を体験してみて初めてわかることが多い職種です。
現場に触れる一番の方法はボランティアです。ただし、ここ数年で施設側の外部受け入れに慎重なところが増えており、高校生が施設に直接電話して受け入れてもらえるかどうかは、以前より不確かになっています。まずは地域の社会福祉協議会(社協)に問い合わせることをすすめます。社協はボランティアと施設をつなぐ窓口を担っており、施設に直接当たるより話がスムーズに進みやすいです。親類に福祉・介護の仕事をしている人がいれば、そのつながりで現場を見せてもらうのが一番手っ取り早い方法かもしれません。施設への直接の問い合わせ自体は引き続き有効ですが、断られることも想定しながら複数当たってみる気持ちで臨んでください。
福祉系の専門学校や大学の窓口に話を聞きに行くのも有効です。福祉の先生はほとんどが現場経験者ですし、高校生の相談には丁寧に応じてくれます。漠然とした質問でも構いません。「福祉の仕事って、実際どんな感じですか」という問いから始めても大丈夫です。
専門誌を読むこともすすめます。図書館で福祉・介護系の雑誌を手に取ってみてください。表紙の特集タイトルを眺めるだけでも、「今この業界で何が課題になっているか」が少しずつ見えてきます。インターネットの情報は主観が強すぎるものが多いので、業界誌の方が現場のリアルをつかみやすいです。
大学進学を考えている人へ:理工系・研究系
理工系や研究系の学部を検討しているなら、「研究室を見に行く」ことが一番の近道です。大学のウェブサイトには研究室の一覧と各研究テーマが掲載されています。まずはそれを眺めるだけでも、「こういうことを研究している人がいるのか」という発見があります。
オープンラボラトリーや研究室見学を実施している大学が増えています。オープンキャンパスとは別日程で開催されることもあるので、気になる大学のホームページを定期的にチェックしてみてください。実際に研究室に入って、院生や教員から話を聞く機会は、パンフレットや説明会では得られないリアルな情報源です。
大学の公開講座や科学イベントも活用できます。「サイエンスアゴラ」「青少年のための科学の祭典」など、研究者が一般向けに発表する場に足を運ぶと、学問の面白さを体感できます。専門的な内容が理解できなくても問題ありません。「この分野は自分の肌に合うか」という感触を確かめに行く場として使ってください。
大学進学を考えている人へ:就職実績で選びたい
「就職に有利な大学に行きたい」という場合、まず知っておいてほしいことがあります。就職における大学名の影響力は、どの学部系統に進むかによって大きく変わるということです。大学を調べる前に、この点を整理しておくと、志望校選びの方向感がつかみやすくなります。
**理系(理工・農・医など)**は、「何ができるか」が評価の中心になります。技術や研究力が直接問われるため、大学名より専門性が重視される場面が多いです。国公立大学であれば地方であっても十分な競争力があり、技術職への就職では学校名の影響は文系ほど大きくありません。理系であれば、志望分野の研究が充実している大学を、学力の範囲内でできるだけ上位の国公立から選ぶことが基本的な方針になります。
**文系・社会科学系(経済・法・経営など)**は、大学間で学ぶ内容の差が比較的小さいため、採用する企業側が「何を学んだか」だけでは評価しにくいという事情があります。その結果、学校の評判や知名度が就職の難易度に直結しやすい傾向があります。大手企業への就職を意識するなら、志望校選びの段階で大学の「格」を現実的に考慮しておく必要があります。
**人文学系(文学・史学・外国語など)**は、専門を活かした就職(出版・教育・翻訳・博物館・図書館など)であれば、専攻の強みが就職に活きます。一方、一般的なビジネス職に進む場合は、社会科学系と近い傾向になります。
学部の方向性が定まったら、次は大学ごとの情報を調べましょう。大学のホームページで就職実績を確認するのが基本です。どの業界・どの企業に卒業生が進んでいるかを見れば、その大学と社会のつながりが具体的に分かります。オープンキャンパスでキャリア支援のブースを重点的に見ておくことや、興味のある業界で働いている身近な大人(親や親せき、地域の知り合い)に「どんな大学・学部が役に立ったか」を聞いてみることも、解像度を上げる有効な手段です。
高卒就職を考えている人へ
高校を卒業してすぐに就職する道は、決して「逃げ」ではありません。ただ、将来の方向性を持たずに「なんとなく働く」状態になってしまうと、惰性で仕事を続けることになり、本当の意味でのキャリアは積み上がりません。だからこそ、働く前から「どんな職場・仕事に関心があるか」を自分なりに探っておくことが大切です。
日常の中で「働く現場」を観察する習慣をつけることから始めてみてください。たとえば喫茶店に行ったとき、接客だけでなく厨房の様子に目を向けてみる。商品やサービスが気に入ったら、どんな会社が作っているか調べてみる。身近なところから「面白そう」という感触を集めていくことが、将来の方向性を絞るための材料になります。
働いてみたい職場に直接申し出るのも有効です。「アルバイトとして働かせてもらえませんか」「就職活動のために職場を見学させてもらえませんか」と声をかけてみてください。断られることもありますが、熱意に応えてくれる職場は必ずあります。なお、高校生がインターンシップに参加する場合は、学校を通じて手続きが必要なことがほとんどです。まずは担任や進路指導の先生に相談してみてください。
「まず動いてみる」と言っても、最初の一歩はどれも小さなことです。電話一本、図書館で雑誌を一冊手に取ること、ホームページを一つ調べること——それだけでも、「なんとなく」の選択から一歩離れることができます。
具体的にどう動けばいいか迷っているなら、いつでも相談してください。