ストレスは消すより付き合う——適度な不安を勉強の力に変える方法
「模試の結果が悪くて不安でたまらない」「合格できるか心配で勉強が手につかない」。受験生にとって、ストレスは避けて通れないものです。多くの人が「不安を消したい」「ストレスなく勉強したい」と願います。
けれども、ここで伝えたいのは少し違う考え方です。不安は無理に消さなくてかまいません。むしろ適度な不安は、勉強を前に進める力になります。大事なのはストレスをなくすことではなく、うまく付き合うことです。
この記事では、ストレスがなぜ力にもなりうるのかを説明したうえで、不安を勉強のエネルギーに変える具体的な方法を整理します。なお、不安そのものが強くて勉強が手につかないときの対処は感情と付き合う(メンタル編)でより詳しく扱います。ここでは、日々のストレスとの付き合い方に絞ります。
1. 適度なストレスは力になる
心理学に、ストレスとパフォーマンスの関係を示した有名な考え方があります。ストレスが低すぎても高すぎても力は発揮されず、中くらいのときにもっとも力が出る、というものです。緊張感がまったくないとだらけてしまい、強すぎると固まってしまう。その中間に、いちばん集中できる状態があります。
つまり、「落ちたらどうしよう」という適度な危機感は、脳を目覚めさせて集中を高めるために、むしろ必要なものです。ストレスを感じること自体は、あなたが本気で合格したいと思っている証拠でもあります。
問題になるのは、慢性的に強すぎるストレスを抱え続けることです。一時的な試験のプレッシャーは脳を集中モードに切り替えるスイッチになりますが、ずっと過剰な状態が続くと記憶や思考に悪影響が出ます。だからこそ、ストレスをゼロにしようとするのではなく、強くなりすぎないように扱う、という発想が大切になります。
2. 不安を「見える化」して、行動に変える
漠然とした不安は、頭のなかに居座って、勉強に使うべき脳の容量を奪います。考えごととして常に背後で鳴っている状態です。これを鎮めるのに有効なのが、不安を紙に書き出すことです。
「英語が間に合わない」「親の期待が重い」「思った判定が取れなかった」——頭のなかにあるものを、そのまま全部書き出してください。感情を言葉にして外に出すと、脳は「この問題は認識した」と判断し、過剰に鳴り続けていた不安の信号を止めやすくなります。その分、脳の容量が勉強に戻ってきます。
書き出したら、次はそれを行動に変換します。「英語が苦手で不安」なら「だから毎日単語を100個見る」、「他人の成績が気になる」なら「だから自分の過去問分析に集中する」というように、不安を具体的な行動に置き換えるのです。「不安だから動けない」ではなく「不安だからこそ動く」へと言い換えられる人は、本番にも強くなります。
3. 体から落ち着かせる
頭が真っ白になりそうなときは、考えで落ち着こうとするより、呼吸から整える方が早いです。4秒かけて鼻から吸い、7秒止め、8秒かけて口からゆっくり吐き切る。これを3、4回繰り返すと、体が落ち着く方向に切り替わり、心拍が下がって冷静さが戻ってきます。試験会場でも使えます。
ふだんから、1日数分でいいので、目を閉じて自分の呼吸だけに意識を向ける時間をつくるのも、気持ちの切り替えに役立ちます。過去の失敗や未来の不安に意識が飛んでいるあいだ、集中はゼロになっています。意識を「いま」に戻す習慣を持っておくと、不安に飲み込まれにくくなります。
まとめ
ストレスは、排除すべき敵ではありません。適度なら集中を高める力になり、それを感じること自体が本気の証拠でもあります。問題は強くなりすぎたときなので、消すのではなく扱うことを考えます。
今日からできることとして、不安を感じたら紙に書き出すこと、書き出した不安を今日やる行動に変換すること、勉強前や休憩中に呼吸で整えること。不安を抱えながらもペンを動かし続けた経験は、受験のあとの困難を乗り越える力にもなります。