勉強は「やる気が出たらやる」ではない——1日のどこに置くかで決まる
「やる気が出たら勉強しよう」。そう考えている間は、たいてい始まりません。やる気は、机に向かう理由にするには不安定すぎます。
続いている人がやっているのは逆で、勉強する時間と場所を、生活の中にあらかじめ決めてしまっています。決まっていれば、その時間が来たら手が動く。「やるかどうか」をいちいち考えずに済みます。
この記事では、勉強法そのものより一歩手前の話をします。いま自分が送っている1日の流れの、どこに、どの勉強を置くか。それを決めるだけで、同じやる気でも進む量が変わります。
1日は、ぜんぶ同じ時間ではない
朝、通学中、放課後、寝る前。同じ「1時間」でも、頭の冴え方も、使える手の自由さも違います。だから、どの時間にも同じ勉強を当てるのではなく、その時間に向いたものを置くと無理がありません。
朝、起きてしばらくは頭がいちばんよく動きます。ここには、いちばん面倒な勉強——数学の難しい問題、英語長文の精読、理屈を追う理科——を置きたい。一日の後半に回すほど、こうした「重い思考」はしんどくなります。
通学や移動、授業の合間のような隙間は、まとまった集中こそ取れませんが、耳と口は空いています。英単語や古文単語、英語の音声を聞いて口に出す、一問一答。短く何度も触る勉強が向きます。
放課後や帰宅後のまとまった時間は、手を動かすアウトプットに使います。問題を解く、過去問にあたる、初見の演習。覚える作業より、ここで「自分で出す」量を確保したい。
寝る前は、新しいことを詰め込む時間ではありません。今日やったことを、ノートを閉じて思い出してみる。軽く単語を見る。それくらいにして、早く寝てしまう。覚えたことは、寝ている間に定着します(睡眠の話)。
新しく時間を作るより、いまある行動にくっつける
「勉強の時間を新しく確保しよう」とすると、たいてい続きません。それより、すでに毎日やっている行動の直後にくっつけるほうが楽です。電車に乗ったら単語アプリを開く、夕食のあとはそのまま机に座る、歯を磨いたら今日の復習を1問。
きっかけを「やる気」ではなく「直前の行動」にしておくと、思い出さなくても始まります。続ける仕組みそのものは、習慣化の記事でくわしく扱います。
「自分のタイプ」は、入口に使う程度に
視覚で入るほうが楽、耳で聞くと覚えやすい、手を動かすと分かる——こうした感じ方の違いは、確かにあります。ただ、「自分は◯◯型だから」と決めてしまうのはおすすめしません。タイプどおりにやれば伸びる、という考え方は研究では支持されていません(末尾の参考)。
使うとしても、さきほどの隙間時間に何を置くか、その入口くらいでいい。耳が楽なら通学の音声を多めにする、手で覚えるなら書いて思い出す。その程度の手がかりとして使い、固定はしないでおきます。
英語は、隙間の「耳と口」を使う
割りふりの具体例として、英語を一つ。英語でつまずく人の多くは、本文を前から処理しきれていません。通学や隙間で英語の音声を回すと、ここを直す練習になります。前から、聞こえる速さで意味を取る練習です。
やり方は、ゆっくり意味を取って読む、止まらず最後まで読む、音声にかぶせて読む、の3つで十分です。声に出すこと自体が記憶にも残りやすいので、これは英語に限った話ではありません(「話す」を中心にした勉強)。
まとめ
勉強が続くかどうかは、やる気の総量より、生活のどこに勉強が置いてあるかで決まります。
朝に重い思考、隙間に暗記と音声、放課後に演習、寝る前に思い出し。まずはこの中の一つだけでいいので、「この時間が来たらこれをやる」と決めてみてください。決まった場所が一つ増えるたびに、勉強は始めやすくなります。
各時間帯の整え方は、それぞれの記事にあります——朝の習慣、計画の立て方、続ける仕組み、勉強する場所、睡眠。
参考
- Learning styles myth(タイプ信奉の弊害) https://www.apa.org/news/press/releases/2019/05/learning-styles-myth
- Production effect(声に出すことと記憶) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20438265/