ドリームラーナーズの石原です。「暗記が苦手」「何度やっても覚えられない」という高校生によく会います。今回は、そういう人に向けて、今日から変えられることをお話しします。
まず、「覚え方」より「思い込み」の問題
暗記が苦手な人のほとんどに、共通する思い込みがあります。「一度見たら覚えなければいけない」「完全に覚えてから次に進まないといけない」というものです。
この思い込みがあると、単語帳の最初の50単語を完璧にしようと何週間もかけてしまいます。最初の100単語を仕上げてから次へ、という進め方では、いつまで経っても1冊の全体像が見えてきません。試験直前になってもまだ前半にいる、ということが起きます。
暗記とは、1回で詰め込む作業ではなく、同じものと何度も再会する作業です。1周の完成度より、周回の速さと回数の方が大切です。
基本の手順
具体的な動作で説明します。
1周目は「見るだけ」です。止まらないことが大事で、英単語帳なら1ページ5〜10秒で流します。意味が出てこなくても構いません。「手強い」と感じたものにチェックをつけて、そのまま次へ進んでください。1周目の目標は、1冊を通しきることです。完璧に覚えることではありません。
2周目は、1周目でチェックをつけなかった、比較的スムーズだったものをもう一度流します。定着を確かめながら、さらに速く進みます。
3周目以降は、1周目にチェックをつけた「手強い」ものに再挑戦します。繰り返し目にするうちに、少しずつチェックが外れていきます。
「覚えた」の目安は、0.5秒以内に意味が出てくることです。「なんとなく見たことある気がする」ではなく、反射的に出てくる状態を目指してください。この感覚に達していない単語は、まだチェックを外さなくていいです。
科目・状況別の調整
高速周回はどの科目にも使えますが、教科や状況によって少し変わります。自分に近いものから試してみてください。
英単語帳は、1日あたり50〜100単語を目安に周回します。1冊300単語程度のものなら、毎日周回すれば3〜6日で1周できます。音声がある教材の場合は、耳で聞きながら流すとさらに効果的です。「聞いて意味が出てくるか」も、チェックの基準に加えてみてください。
歴史・地理の用語は、一問一答形式の教材が向いています。ただし、用語だけを単独で覚えようとすると忘れやすいです。教科書の流れとセットで「何と何がつながっているか」を意識しながら流してください。用語が孤立していると、少し問われ方が変わっただけで答えられなくなります。
古文単語は、品詞や活用まで一気に覚えようとしないことです。まず「だいたいこういう意味の単語」という感覚を持つことを優先してください。細かいニュアンスは、文章の中で何度も出会ううちに自然と身についていきます。最初から完璧を求めると、量が進まなくなります。
理科・数学の公式や用語は、「名前と内容」を覚えるだけでなく、「どんな場面で使うか」をセットで意識することが大事です。公式単体を眺めていても定着しにくいので、問題演習と並行して周回する方が効果的です。「この公式はこの場面で使う」という結びつきが、記憶を安定させます。
どうしても嫌いな教科がある場合は、まず1日5分だけ眺めることから始めてください。覚えようとしなくていいです。「見ること」に慣れるのが先です。過去の失敗経験が積み重なって「嫌い」になっているケースが多いので、負荷を極端に下げて、小さな再会を積み重ねていくことが、苦手意識を和らげる近道になります。
何をどのペースで回すかが、実は一番難しい
手順自体はシンプルです。ただ、実際には「この教材を1日何ページ進めるか」「どのタイミングで次の教材に移るか」という判断が難しいです。ここを間違えると、周回が追いつかなくなったり、逆に量が少なすぎて時間を無駄にしたりします。
当塾では、使っている教材・残り時間・現在の定着度をもとに、具体的なペースと量を一緒に決めるところから始めます。気になる方は相談してください。