ドリームラーナーズの石原です。今回は世界史探究の学習法について書きます。
世界史探究の学習は、全体像を掴むための通史インプットが最優先です。その後は、用語や年号を覚えながら因果関係を把握し、様々な問われ方に対応していく作業の繰り返しになります。
学校の授業ペースでは受験に間に合わない
まず指摘しておきたいことがあります。学校の授業では、受験直前の11月ごろになっても全範囲の説明が終わりません。それどころか説明のペースが加速し、実質的に自力でインプットし直すしかない状況に追い込まれます。公立高校であればほぼ確定だと思ってください。
学校任せにしていると、受験直前の12月になって近現代の参考書を1から読み直さなければいけない、ということになりかねません。世界史探究は、主体的に学習を進める姿勢がなければ入試で武器にできない科目です。3年生の夏休みまでには自力で全範囲の学習を完了させ、入試問題の練習を繰り返せる状態を目指してください。私大専願であれば、なおさらです。
情報は一元化する
参考書や問題集を複数使うと、情報があちこちに散らばります。常にすべてを持ち歩くことはできないため、自力でノートを作るか市販のノート教材を使って、情報を一か所に集約していく必要があります。インプット用のテキストや一問一答を情報の中心に据えている受験生も多いです。
何に集約させるかは好みで構いません。一問一答に全情報を書き込んで集約している受験生もいます。その一冊さえ持ち歩けば、いつでも世界史を復習できる状態を作ることが目的です。
世界史探究の特性
出来事同士の因果関係とストーリーを覚える
世界史探究は、単独で用語や年号だけを問われる問題はありません。必ず他の用語との関連、歴史の流れ・展開の中で問われます。共通テストも私大も国公立も、この点は変わりません。
全範囲が仕上がるまで点数が上がりにくい
世界史探究は、全範囲をある程度完成させるまで点数が上がりにくい科目です。出てくる時代と地域の幅が広いため、一部しか覚えていない状態では太刀打ちできません。まだインプットしていない範囲ができないのは当然です。全範囲の学習と標準的な問題でのアウトプットが終わるまでは、淡々と知識を埋めていくしかありません。
ただし、ある程度仕上がってしまえば、低すぎる点数を取ることが少なくなります。各地域・各時代ごとにストーリーがはっきりしているため、展開を理解して覚えると思い出しやすい科目でもあります。難関私大で奇問・悪問が出ることはありますが、誰もが解ける問題と合否に差のつくレベルの問題を解ければ十分です。
学習の基本方針
参考書は最低限に絞る
世界史探究はインプット・暗記・演習・地図対策など、使える教材が多くなりがちです。ただし基本的には、インプット用テキスト、ノート(学校配布のもので十分)、資料集(学校配布のもので十分)、問題集で対策できます。
まず「きめる!共通テスト世界史」と「ツインズマスター」に絞って通史インプットと用語暗記を進めることを勧めます。様々な教材に手を出すより、基本的なインプットを終わらせることが先です。他の教材は演習の中で別視点の知識不足を感じたときに追加すれば十分です。
一問一答よりストーリー重視の暗記を
一問一答は用語の暗記だけになりがちです。用語と年号を暗記するだけで流れの把握まで高めることができる人もいますが、多くの受験生は用語の暗記のみで留まり、「流れ」の理解まで及ばない状態になります。
まだ一問一答を使っていない場合は、ストーリー重視の暗記用教材を中心に進めてください。一問一答を使う場合でも、ツインズマスターレベルの通史が完璧になってから使うのが順序として正しいです。
問題演習を必ず行う
インプットと暗記だけでは得点力は上がりません。知識は知識のままでは役に立ちません。どのように問われるか、どのように説明するかという技術を磨くために、問題演習を並行させてください。
間違えた問題を、問われ方とセットで理解して覚え直すことで、本番で間違える可能性が少しずつ下がります。インプットが全部終わるまで演習しないということはありません。詳細な用語暗記に入ってからは、レベルに応じた演習を並行してください。
参考書と問題集の選び方
通史インプット
まず「きめる!共通テスト世界史」から入るのが取り組みやすいです。講義形式で因果関係がわかりやすく説明されています。余裕があれば、「ナビゲーター」(全4巻)も詳しく、歴史が好きで時間が確保できる人には向いています。ただし量が多く、全4巻を読み切れない受験生も多いため、時間と相談してください。
1〜2年生でまだ受験まで余裕がある場合や、まず全範囲を短期間で見ておきたい場合は、「世界史の勉強法をはじめからていねいに」や「教科書よりやさしい世界史」のような薄めの入門書が向いています。
文化の情報(絵画・写真)は資料集を使って視覚的に覚えてください。
用語暗記(ツインズマスターを軸にする)
基本の用語暗記には「ツインズマスター」を使います。1つの用語を空欄補充と一問一答形式で確認できる構成で、両方の問われ方に即座に答えられるまで繰り返してください。入試では同じ用語が穴埋めで問われることもあれば、一問一答形式で産出を求められることもあります。複数の形式で練習しておくことで、本番でどんな出し方をされても対応できるようになります。どのレベルを目指す場合でも、通史を一度やり通した後にまずツインズマスターで最低限の用語を固めてから次の段階に進んでください。
年号暗記で順番を整理する
ツインズマスターは用語暗記と問われ方のマスターに特化しており、年号暗記には向いていません。年代暗記法の教材を別途使って、重要なイベントの年号と、その前後に生じた出来事や関係者をまとめて覚えていきます。
同時代の他地域との対応(ヨコから見る世界史)
ツインズマスターレベルの用語暗記が終わってから取り組む内容です。「同年代に別地域で起きた出来事」「別地域の出来事を時代順に並び替える」といった問題に対応するためには、同時代に世界規模でどういう流れがあったかを理解して覚えていく必要があります。「ヨコから見る世界史」がこの目的に向いています。
学校で同じ目的のテキストが配布される場合はそちらで代用できます。
地図問題対策
地図問題への対策を特別に行う必要があるかどうか、まず見極めが必要です。「地図問題ができない」という受験生の多くは、実は地図問題以前の問題として、地名を含む用語の暗記が不十分であることがほとんどです。まずツインズマスターレベルの用語が入っているかどうか確認してから、地図問題対策に入ってください。用語暗記が足りているのであれば、ビジュアル世界史問題集などで対策できます。
多くの参考書を使いたくない場合のシリーズ推奨
世界史は必要な参考書が多くなりがちです。性格上または特性上、多くの教材を管理するのが難しい場合は、鈴木悠介先生が一人で書き上げた世界史シリーズ(入門編・必修編・発展編)が選択肢になります。入門編から始めると暗記に必要な小道具も揃っており、このシリーズだけで十分な学習ができます。世界史の学習の仕方が詳しく書かれている点でも参考になります。
入試問題演習
世界史は出題範囲のばらつきがあるため、なるべく志望大学の傾向に沿った範囲を優先してください。赤本などの過去問集には出題傾向の解説が書かれている場合があり、参考になります。
共通テストから私大対策まで幅広く対応したい場合は「ヒストリア」が解説の充実した選択肢です。難関私大対策なら「実力をつける世界史100題」や「オンリーワン世界史完成ゼミ」が難問への対応力をつけるのに向いています。
論述対策(国公立向け)
ツインズマスターレベルのインプットが終わった段階で、2周目のインプットと論述練習を並行してください。論述では、教科書的なシンプルな記述をそのまま適用できることが多く、「わかる」重視から「説明できる」重視のインプットに変えていく必要があります。
論述練習の最初の1冊には「世界史論述練習帳」を使い、一通り練習してから他の問題集や過去問に入っていきます。一問一答をどれだけ積み上げても、知識の結びつけ方がわからないまま用語と年号を覚えるだけでは論述は得意になりません。論述ができるための理解を自分で実感するまで、入門書と並行して進めてください。
世界史探究は、通史インプット → ツインズマスターで用語固め → 演習と2周目インプットの並行という流れで進みます。全範囲が仕上がるまでは点数が上がりにくい科目ですが、そこさえ突き抜けると安定してきます。夏までに通史を終わらせることを最初の目標に置いてください。