ドリームラーナーズの石原です。今回は、文系で数学が苦手な受験生向けに、入門レベルの学習法を書きます。理系でも数学が非常に苦手という場合は参考になると思います。
定期試験や模試で点数が取れないとき、「公式は知っているのに解けなかった」という感想が出ることがあります。ただ、この状態はよくあることで、恥ずかしいことではありません。公式を「知っている」状態と、試験中に素早く「使える」状態は別物です。数学が苦手な人の多くは、この2つのどちらか、あるいは両方が不足しています。
数学が伸びない2つの原因
計算が遅い
数学が苦手な人の中には、計算が遅いために問題を解く練習が積めず、それがずっと続いている人が相当数います。本人が自覚していないことも多いです。計算に時間がかかると、公式を理解する段階でも時間が足りなくなり、演習量が増やせません。
まず自分の計算スピードに問題がないかを確かめることから始めてください。
公式をなんとなくしか覚えていない
計算に問題がなくても、公式の形があいまいで、試験中にすぐ出てこない人は多いです。ゆっくり考えればわかるものの、時間制限のある試験では間に合わないという状態です。
公式は、見れば思い出せるレベルではなく、問題文を見た瞬間にどの公式を使うかが判断できるレベルまで練習する必要があります。
入試問題の性質を理解する
定期試験では、どの公式を使えばよいかが問題の形式から見当がつくよう設計されていることが多いです。一方、入試問題は受験者を選抜するためのものなので、公式の使い方が一目でわかるような誘導はありません。
模試の後に「公式は知っていたのに使えなかった」と感じるのは、この違いが体に染み付いていないからです。問題集を使いながら解法を暗記し、最終的には「誘導のない実戦問題でも解法が浮かぶ」状態まで仕上げていく必要があります。
虚無の時間を減らす
数学の苦手な人にありがちな、学習効果がほとんどない時間があります。解説を読んでいるが次に自力で解くことを考えていない時間、答えを写しているだけの時間、できない問題の前で考えが止まったまま何分も経過する時間、こうした状態が続くと、演習量が増えても実力はほとんど上がりません。
解説を読むときは「次に同じ問題が出たとき、どう解くか」を意識して読んでください。そして演習中は、5分程度考えても鉛筆が動かないなら、解説の最初の数行だけ読んで再度自力で試みる、それでも進まなければ解法を理解して暗記する、という方針で切り上げることを勧めます。完璧に理解してから次に進もうとするより、先に解法の型を頭に入れてしまった方が、後からの理解が早くなります。
学習の進め方
基礎計算の練習(2週間で終える)
計算スピードに不安がある場合は、小学5年〜6年レベルの計算ドリルをやり直してください。考え方やポイントが丁寧に書かれている中学入試向けの計算ドリルが向いています。1日20ページ程度、1週間で1冊を目安に、2週間で一通り終えてください。
ここに時間をかけすぎる必要はありません。計算練習はできるだけ短期間で完了させ、次の段階に進んでください。
公式理解と運用練習
計算の問題が解消したら、公式の理解と運用練習に入ります。
最も良い教材は教科書です。節末問題・章末問題を、問題文だけを見た状態で答案を書いて解けるまで仕上げることが基礎力養成になります。教科書には、それらの問題を解くために必要なことがすべて書かれています。
教科書よりも解説が詳しいものが必要な場合は、マセマの「元気に伸びる数学 問題集」シリーズが選択肢になります。実教出版の「短期集中ゼミ」シリーズも、公式の確認と計算練習を並行して進められる構成です。自信がない人は「Express」レベルから始めてください。
答案を書く習慣をつける
私立大学専願の場合でも、記述形式で答案を書く練習をしてください。ただの計算の羅列ではなく、「問題文の条件」「使う公式とその根拠」「結論への論理的な流れ」を書き出すことが目的です。
これをやらないと、演習を積んでもどこでつまずいているかが自分でわかりません。難関レベルになるほど私大でも記述答案が要求されるため、基礎的な問題のうちから論理的に書く習慣をつけておくことが後で効いてきます。
解法暗記の進め方
「初見の問題を自分で解けるまで考える」という学習法を勧める指導者もいます。これは超難関大向けの訓練としては意味がありますが、基本的な解法がまだ頭に入っていない段階では逆効果です。考える材料がなければ、問題文を見ても何も考えることができません。
まず典型的な解法を頭に入れることが先です。解法暗記は、問題を見た瞬間にどうアプローチするかのパターンを増やす作業です。一度で覚えきれるものではないので、その日の夜や翌日に同じ問題を確認する習慣が定着を早めます。
解法が頭に入ってくると、問題文を読んだ瞬間に解答の方針が浮かぶようになります。そうなると復習・確認の時間が短くなり、演習の効率が上がります。文系数学の全範囲で、まずは典型問題150問程度の解法暗記を目標にしてください。
入試問題演習
教科書レベルの問題が解けるようになったら、入試形式の問題演習に入ります。
このタイミングで、志田先生の「数学の勉強法をはじめからていねいに」を読むことを勧めます。各分野の特徴と解法暗記のポイントが整理されており、今後の演習の方針を立てるのに役立ちます。
私大標準(有名大レベル未満、地方都市トップ私立)であれば、教科書レベルの問題集を仕上げた後、過去問10年分の繰り返し演習で対応できます。
地方国公立レベル以上では、もう一段階難しい問題集が必要になります。このレベルになると、公式の使い方を誘導してくれる設問設計は少なくなり、解説を読む際にも頭を使って理解していく必要があります。
「松田の数学I・A/II・B典型問題Type100」は、核心的な解法をコンパクトにまとめており、頭に入れるべきポイントが明確です。なお、旧課程用の問題集のため、「整数問題」が含まれていますが飛ばしてください。「確率統計」については扱っていないため、教科書で補ってください。
どの問題集でも、インプット用に教科書を手元に置いて、必要に応じて参照することを忘れないでください。
数学の入門レベルの学習は、基礎計算の練習 → 公式理解と運用練習 → 入試問題演習 の順で進めてください。解法暗記と実戦演習を積み重ねることで、「公式は知っているのに解けない」状態から抜け出すことができます。