ドリームラーナーズの石原です。今回は化学の学習法について書きます。
化学の学習は、理論分野を土台として無機化学・有機化学へ進むのが基本です。理論分野が一通り固まれば、その後の学習は進めやすくなります。まず理論分野を終わらせることが優先です。
学校の進度に頼らない
学校の授業では、高3の夏まで全範囲が終わらない学校がほとんどです。受験直前まで有機化学が終わらないという学校もあります。化学は暗記する量が多いため、学校の授業が全部終わってから復習を始めるのでは間に合いません。3年生の夏休みには自力で全範囲の学習を完了させ、入試問題の練習を繰り返せる状態にしておきましょう。
化学の学習で押さえておくこと
暗記を後回しにしない
化学は暗記量が多く、ゼロの状態から入試前に詰め込むには量が多すぎます。また、大学レベルの説明が省略されているため、「なぜそうなるのか」という疑問を飲み込まなければいけない場面も多いです。難関大を目指す場合は「化学の新研究」などで現象の理屈を追いかける必要がありますが、まず覚えることを先にして、徹底的な理解は後からでも間に合います。私自身、高3の夏休みに新研究を全部読み直して、理解し直した経験があります。
暗記は、問題を通じて理解を進めながら、表を作るなどして知識を整理しつつ覚えていきます。特に「試験中に書けるまで覚える」ことを意識してください。定番の反応式、特定物質にまつわる連鎖的な反応、周期表、イオン化傾向は書けるまで覚えましょう。試験開始直後に思い出しにくい項目を答案用紙の余白に書き出す習慣をつけておくと、そこを参照するだけで解ける問題が増えます。私は毎回周期表とイオン化傾向を書いてから試験問題に向かっていました。慣れてくれば2分程度で終わります。
図録・資料集は必ず使ってください。化学は視覚的な暗記が効果的で、イメージなしに暗記しようとすると量が多すぎて間に合いません。
計算問題の正体は「比と加減算」
化学の計算問題を苦手とする人が多いですが、計算自体は簡単なものがほとんどです。多くが「比」の話で、計算自体は小学生レベルです。計算問題が解けない多くの場合は、用語の定義を正確に覚えていないために問題文が読めない(何をすべきか判断できない)のが原因です。問題演習を通じて、問題文を読解する練習を積むことが解決策です。
難関大ほど「読解力」が必要
東大・京大をはじめ旧帝大・難関私大になると、問題文自体が難解になります。使う考え方は高校レベルでも、高校内容で大学レベルの考察をさせる問題や、問題文の誘導が長くて読解力が求められる問題が増えます。難関大になると、解答に必要な知識は教科書の範囲内でも、一読しただけでは何を問われているかパッとわからない複合的な出題が増えます。問題文を丁寧に読み解き、条件と要求を整理し、出題者の意図を見抜く力が得点の前提になるのです。
過去問で対策するのは重要ですが、解説を読んで理解するだけでは不十分です。「自力で問題文だけから説明する」という手順を踏み、本番で必要な思考過程を再現する練習をしてください。
参考書の選び方
インプット教材は目標レベルに応じて選ぶ
共通テスト・有名私大レベルまでは、「宇宙一わかりやすい高校化学」シリーズが初学者にも取り組みやすく、イラストと例え話で化学の世界をイメージしやすくなっています。
難関私大・地方国公立・ブロック大レベルでは、「鎌田の理論化学の講義」(Doシリーズ)が入試頻出のポイントを効率よくインプットできます。難関大志望者でも化学に苦手意識がある場合は、まず宇宙一シリーズから入ることを勧めます。
難関大・医学科・薬学科では「化学の新研究」での学習が有効ですが、これは自力で詳細を調べながら読み込める人向けです。
問題集選びの注意点
一問一答ばかりやって本番形式の問題にほとんど触れないまま来てしまうパターンに注意してください。問われる内容は「問われ方」とセットで覚えなければ実力になりません。必ず入試問題形式の演習を行ってください。
逆に、志望校に対して難しすぎる問題集を選ぶのも非効率です。問題集によって扱う知識の細かさと深さが変わるため、自分の志望校レベルに合ったものを選んでください。
レベル別の問題集
基礎固め(ゼロから、または授業についていけない)
全範囲の基本的な知識を最低限覚えたい場合は、穴埋め形式のノート教材が適しています。「リードLightノート」など、書き込みながら整理できる教材で基礎を固めてから演習に入ってください。
共通テストのみで化学を使う
共通テストで6割以上を目標にする場合は、基本知識のおさらいをした後、共通テスト形式の問題集(各社から毎年改訂されるものが使いやすい)に絞って演習するのが効率的です。
有名私大(産近甲龍・日東駒専まで)
インプット教材と過去問で対応できる大学がほとんどです。演習量を増やしたい場合は、問題数が少なく繰り返しやすいコンパクトな問題集(「基礎問題精講」など)を追加してください。誰でも解けるような問題のミスを減らすことを目的に選ぶと良いでしょう。
地方国公立・ブロック大・有名上位私大
記述・論述に慣れていない受験生が多いレベルです。傍用問題集と並行して、コンパクトな入試問題集を早めに始めてください。暗記が疎かになりがちなため、橋爪先生の一問一答を使いながら知識を補強するのも有効です。国公立志望の場合は、国公立の問題だけを集めた「CANPASS化学」で演習を重ねましょう。国公立と言えども大学によってかなり形式差があることがわかりますし、傍用問題集や定期試験でやってきた内容との違いも把握できます。
準難関国公立・上位私大薬
「化学重要問題集」が多くの大学に対応できます。A問題で基礎を固めてからB問題を繰り返すのが基本の使い方です。志望校の過去問10年分を「記述解答を完成させられる」まで徹底してやり込むことも合わせて行ってください。
私大薬は一問一答的な知識を問う問題が多い大学が多く、知識そのものを的確に答えることが重要になります。上で紹介した一問一答を使いながら、ある程度細かい知識まで対策した方が良いでしょう。上位・難関私大薬になると問題文が長文化するため、読解力が必要な問題にも慣れておく必要があります。複数冊は避けて一冊で入試問題を網羅的に扱いたい場合には、「良問問題集」がお勧めです。
旧帝大難関(阪大・名大・東大・京大)・早慶上理
問題文が長く読解力を要する問題が多い大学には、「新理系の化学問題100選」や「化学の新演習」が対応しています。使う知識は高校レベルでも、問題文をどの視点で読むかを自力で判断できるよう、徹底的に演習してください。基礎固めには重要問題集(準マーク問題)や「基礎→標準問題精講」の活用も有効です。
化学は、理論分野の理解を軸に無機・有機へ広げ、インプットと問題演習を並行させながら学習を積み上げていきます。学校の進度に頼らず、自力で夏までに全範囲を完了させることを目標に進めてください。